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連載

続・不養生のすすめ46

低栄養化と感染症
中村 計

2014年10月号

 デング熱の大流行を阻止する手立てに大わらわの状態である。このデング熱はいわゆる検疫感染症である。検疫感染症には、今外国で流行しているエボラ出血熱、ペスト、マラリアなど全部で十一の疾患がある。これらの検疫感染症が潜入する要因として検疫のチェック機能の甘さがあることは否定できない。わが国には、八十一カ所の海港と二十九カ所の空港に検疫所がある。しかし、アメリカとは較べものにならないが、不法入国者もいる。細菌やウイルスは巧みに検疫所のチェックをくぐり抜ける術を身につけている。

 しかし、ここで銘記しておくべきことがある。病原体が国内に入ってきたからすぐ大流行につながるわけではないことである。感染の経路も問題となる。今回は、感染経路の遮断に迅速な手立てがなされた。しかし、完璧な感染経路の遮断はほとんど不可能である。

 筆者がここで問題としたいのは宿主(つまり人間)の条件のことである。筆者は、これまでも日本人の低栄養化が改善されないと、感染症が跋扈するであろうことをくり返し警告してきた。若年者にインフルエンザが流行したときにも、日本人の低栄養化の危機に・・・