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政治

《土着権力の研究》埼玉県 野本陽一(県議会議員)

「独裁体制」を敷く県議会自民のドン

2014年11月号

「議員の規範となるべき十期の超ベテラン県議なのに、素行不良が甚だしい」

 最近、埼玉県庁や県議会に出回った文書の一節だ。県庁関係者の手になるものとされる告発文だが、内容は子細にわたっている。ここで素行不良と名指しされたのが、県議会議員の野本陽一だ。

「野本は以前から力を持っていたが、ここにきて埼玉県政を我が物顔で牛耳るようになっている」

 野本について詳しい、埼玉勤務経験のある全国紙記者はこう語る。

 東京に隣接し、さいたま市を筆頭とする都市部を多く抱える埼玉県は、その立地とは裏腹に「ど田舎のような政治風土が根付いている」(前出記者)。長年、県議会最大会派の自民党が知事と伍する力を有してきた。自民党と知事の関係は、対立と協調の間を揺れ動き、前任者の土屋義彦知事時代には衝突が絶えなかった。二〇〇三年に当選した現知事の上田清司は民主党出身でありながら、自民党との協調路線を歩んできた。

 土屋時代の自民党県議団は有力議員が群雄割拠していたが、近年は野本と、佐久間実(当選十回)の二人に・・・