日本の大学生を勧誘し、カナダ国会議事堂に銃を持って乱入し、在トルコの米欧総領事館に不審物を送り付ける―。イスラム過激派組織「イスラム国」（ＩＳ）に関する連日の報道は、「いつの間にこんな組織網ができたのか」と世界を驚かせている。

「宣伝ビデオの多くは、撮影や構成がプロの手になるもの。ソーシャルネットワーク（ＳＮＳ）のリクルーターは、それぞれ各国語のネーティブで、若者の心のつかみ方に習熟している」と、在ロンドンの安全保障担当記者が言う。

　今年四月には「アル・ハヤト」という名の宣伝機関が作られ、英仏独語でネット動画からＳＮＳまで広範なメディア活動を始めた。ＩＳの最新報告は、英語版がＰＤＦで読める。フェイスブックやツイッター、大手ネット検索各社は、ＩＳ系と見られるサイトやタグを次々と削除しているが、一見すると全く無関係そうなタグを新設され、すぐ裏をかかれる。

　テロ組織としては最も洗練された、ＩＳの情報宣伝活動を統括しているのが、この男である。今年九月には、「首席広報官」として、対ＩＳ軍事作戦に加わる米欧の「不信心者たちを殺・・・