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連載

西風 402

復活する「水都大阪」

2014年11月号

 かつて「浪華八百八橋」とうたわれた大阪が、水辺活用の最先端都市として復活を遂げようとしている。

 大阪市中心部は延長四十三・二キロメートルに達する「ロの字」型の「水の回廊」に囲まれている。北側には中之島を挟んで堂島川と土佐堀川、東には東横堀川、南には道頓堀川、西に木津川が流れている。近年、周辺には川面の見えるレストランやカフェが増え、遊覧船が周航している。橋梁や建物がライトアップされて、水辺は常に市民や観光客で賑わいを見せる。

 幕末や明治初期に大阪を訪れた欧米人は、川沿いに立ち並ぶ蔵屋敷と柳の並木の景観に「東洋のヴェニス」と讃嘆した。また、縦横に張り巡らされた堀川の舟運は「天下の台所」と呼ばれた繁栄を支えていた。

 その後、物流は陸上輸送に切り替わり多くの堀川が埋め立てられた。戦後は工業排水や生活排水が流入、河川の水質が急激に悪化。「川は臭い」ものであり、沿って立つビルは殺風景な壁だけを向けた。大阪は川に背を向けた都市になってしまったのだ。

 それでも一九八〇年代にかけて、工業排水規制や下水道の・・・