相次ぐ「粛清人事」で揺れる外務省 官邸のやりたい放題に怒りの声
2014年11月号
本誌十月号で外務省の石井正文国際法局長が捕鯨裁判の敗訴で官邸の怒りを買い、今夏の人事でベルギー大使に「飛ばされた」と報じたが、同省では他にも同様の更迭人事が相次いでいるという。
同じ夏の人事では曽根健孝北米第一課長の交代も波紋を広げた。四月のオバマ大統領の来日に際し、国賓とするかなどを巡って直前まで日程を固められず、官邸が激怒して詰め腹を切らされたという。外務省内には「オバマ側に落ち度があるのに……」と同情論がもっぱらだ。
沼田幹男・駐ミャンマー大使の退職(五月)と、横田淳経済外交担当大使の交代(一月)も、官邸ににらまれたのが原因という。沼田氏は「ノンキャリア」出身で初めて局長に抜擢されたが、大使に着任してわずか一年半で職を去ることに。後任は、菅義偉官房長官に近いとされる元警視総監が起用され、外務省関係者は「長官のごり押しで沼田氏が追いやられた」と憤る。横田氏はEPAなどを担当してきたが、こちらも一年数カ月で外された。交渉が進まないことで官邸に目をつけられたとの見方がもっぱらだ。
官邸の対応に省内では「戦前の海軍が良識派を次々と左遷していったのを想起させる」との呻・・・