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中国軍部が汚職摘発で大揺れ

将軍「連続自殺」事件の深層

2014年12月号

 北京で先月開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議は、習近平にとって中国の国家主席が米国大統領と並ぶ世界の二大指導者となったと内外に宣言するイベントだった。オバマ米大統領、プーチン露大統領ら各国首脳が清朝時代の衣装をアレンジした中国服を着てホスト役の習近平国家主席に握手を求めた。これを中国国営メディアは「万邦来朝」と表現した。周辺の属国の王がこぞって朝貢するという中華帝国のイメージだ。これが、習近平政権の掲げた「中華民族の偉大な復興」だ。 本当の相手は江沢民  だが、APEC首脳会議が終わるとすぐ、それまでの高揚が雲散霧消する事件が起きた。海軍司令部ビルの十五階から海軍副政治委員の馬発祥中将が飛び降り自殺したのだ。  副政治委員は、海軍の共産党組織のトップである政治委員に次ぐ高官だ。軍内の粛清は、党中央紀律検査委員会がこの六月、党中央軍事委員会前副主席の徐才厚上将(当時)を汚職で立件して一段落したと思われていたが、そうではなかったようだ。軍の粛清再開は、いまだ軍を掌握できない習近平の焦りとみられる。軍を掌握できない皇帝は裸の皇帝にすぎない。・・・