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WORLD

「外交崩壊」のホワイトハウス

世界秩序は「荒れ放題」の年に

2015年1月号特別リポート

「私にはソ連の行動がみなさんに説明できません。それは謎の中の不可解性に包まれた判じ物なのです。しかし、恐らく鍵はあります。その鍵はソ連の国益です」―あまりにも有名なチャーチルの言葉だ。独ソ不可侵条約締結で世界を驚かせたソ連は、直後にポーランドを軍事侵略した。それを目の当たりにしたウィンストン・チャーチルは、一九三九年十月一日のラジオ放送で思ったとおりの疑問を英国民に訴えた。

 それほど大袈裟な話ではないが、オバマ米政権の迷走はいまだに続いている。言論、報道の自由が最大限に許されている米国であるから政府の行動が透明であることに疑問の余地はない。が、それにしても、ウクライナにおけるロシアの国際法を無視した行動、中東とりわけシリアとイラクにおける混乱、軍事力や経済力を総動員して地域大国から世界大国を目指しているとしか考えられない中国の覇権主義、西アフリカでのエボラ出血熱などへのオバマ政権の対応ぶりは単なる不手際であろうか。

 確かに米国の世論は米軍の海外での関わり合い方に強い反発を示すようになった。財政危機のシワ寄せが専ら軍事費に寄せられているのも・・・