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政治

《罪深きはこの官僚》田村 明比古(国土交通省航空局長)

アベノミクス「目玉事業」を 潰す愚物

2015年1月号

「アベノミクス第三の矢の目玉のはずが、視界不良になっている」

 二月から入札参加予定企業の事業計画提出が始まる関西国際空港(関空)と大阪国際空港(伊丹)の運営権売却事業について、国土交通省担当記者はこう語る。

 公的施設の所有権は移さぬまま、運営権のみを切り離して民間に売却する「コンセッション」。成長戦略の柱として二〇二〇年までに各地の空港や上下水道、高速道路で実施が予定され、政府は十兆円規模まで拡大させる方針だ。中でも金額面で最大案件になるのがこの「関空コンセッション」である。

 しかし、国交省が決定した関空コンセッションの落札最低金額は四十五年間で二兆二千億円という大方の予想をはるかに上回るもので失望が広がった。単純計算で一年間に約四百九十億円を新関西国際空港会社に納めなくてはならない。一四年三月期の同社の決算を見ると、関空と伊丹の合計営業利益は三百十億円だ。落札する特定目的会社(SPC)はこれに百八十億円以上を上乗せしなければならず、SPCの利益を考えればさらに収益を増やす必要がある。前出国交省担当記者が解説する。・・・