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経済

シェール革命「失速」の深刻度

米国から世界経済に広がる「暗雲」

2015年1月号

「S&P(スタンダード&プアーズ)が新値更新中に、売りでこれほど、しかも短期間で儲かるとは思っていなかった」  売り専門ヘッジファンドのマネジャーが電話の向こうで興奮気味に話した。彼はここ数カ月の原油価格の急落を予測し、シェール関連の独立系採掘販売会社の株を売り浴びせたという。  代表的銘柄のコンチネンタル・リソーシズをみると、九月に八十ドルだった株価は十二月に三十三ドルまで暴落した。このマネジャーは「五〇%以上の値下がりも珍しくない」と語る。  大手石油会社の株価も下落している。たとえばエクソンモービルは同時期に百五ドルから八十五ドルに下がったが、シェール関連銘柄の下落幅には及ばない。このマネジャーが続ける。 「株もいいが、ジャンク債の方が売られている。そのうち流動性が低いことに皆が気付いて、パニックを起こすぞ」  確かに、投機的要素の強いジャンク債の市場の平均利回りは四、五カ月前まで五%を切っていたが、ここにきて七%台まで上昇した。市場の六分の一を占めるシェール銘柄はさらに利回りが上がり、価格は低下している。売り方のヘッジファンドはさまざまな投資方法で・・・