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経済

勝ち残る中小製造業「三つの条件」

「グローバル・ニッチ」という活路

2015年1月号

 総選挙で円安は一服し、原油高の是正も進んでいるものの、日本経済は停滞感を払拭できないままだ。トヨタ自動車はじめ大手企業は円安による海外利益の円換算での膨張という追い風を受け、過去最高益が続出する一方、中堅・中小企業は円安が輸入原材料のコストアップにだけ効き、収益が低迷しているからだ。日本経済の真の回復には中小企業の復活が不可欠だが、それは何によって達成できるのか。  香港、マカオからほど近い中国広東省珠海市に昨春、世界最大の水族館、珠海長隆海洋王国がオープンした。売り物は五万トン近い水を湛えた世界最大の水槽。二位のドバイ水族館の二倍、沖縄美ら海水族館の四倍という巨大さで、一万五千匹の魚が泳いでいる。  この水槽をつくったのは香川県の日プラ。社員八十五人の中小企業だが、水族館向け大型水槽では世界シェア七〇%という圧倒的なリーディング企業だ。その秘密はアクリル樹脂を何枚も重ねて接着しても透明度が落ちず、横に並べて接合しても巨大な水圧にも耐える強度を出す技術だ。珠海では横四十メートル、高さ八・三メートル、厚さ六十四・五センチとアクリル板を自在に重ね、接着した。だが、アクリル板の・・・