三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

経済

《クローズ・アップ》小林喜光(経済同友会次期代表幹事、三菱ケミカルホールディングス社長)

安倍政権に物申す財界人となるか

2015年1月号

 決まってしまえば、あたかも最初からそうだったような気がしてくる「座りのいい」経営者だ。三菱グループの中核企業のひとつ、三菱化学社長、三菱ケミカルホールディングス社長(兼三菱化学会長)を計七年務め、しっかりした経営実績をあげてきた。温和な性格で人当たりもいい一方で、きわめて切れ味のいい、時として刺激的な発言もするのが特徴。その割に不思議と敵が少ない。

 日本経済団体連合会が経済界の長男のような重い責任を負っているとすれば、経済同友会は次男坊の自由さ、気楽さが持ち味。歴史的にも経団連会長とは異なる発言や行動をするトップが多く、中から出てくる提言も斬新さが売り物だった。その意味では、小林氏は「経団連というよりも、同友会的なテイストを持っている」とみる経済人が少なくない。

 長谷川閑史代表幹事(武田薬品工業会長)時代の同友会は存在感が薄れ、停滞期だったとの声が内外から出ている。武田薬品が関西の会社だったこともあるが、東京での長谷川代表幹事の印象は薄い。四月に就任予定の小林次期代表幹事の「いの一番」の使命は同友会の存在感の再構築といってもいいだろう。・・・