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社会・文化

「除染バブル」福島の不都合な真実

原発被災地の「歪んだ」復興

2015年1月号

 アベノミクスとは無縁の地方部では、衰退がとまらず「多くの市町村が消滅する」とまでいわれる。その中で、東日本大震災の被災地域はアベノミクスとは関係なく経済は好調だ。震災以降続く復興事業が理由だが、福島ではこれに原発事故の影響も加わる。いわき市の市役所関係者が語る。 「事故から三年が経過すると、原発の爆発で被害を被ったのか、恩恵を受けたのかわからなくなる」  津波や地震による被害の復旧には終わりがある。しかし福島第一原発事故の処理はその限りでなく、復興特需ならぬ「原発事故特需」が延々と続く。特に、見切り発車的に始まった除染事業は、福島県内に広くカネをばらまきながら社会や経済を歪めている。 「原発事故特需」に沸く  浜通りにある南相馬市。津波にのまれ放射能にも襲われたこの自治体は、市内が壊滅的な被害を受けたが、残された地域の経済は、震災前よりも好調だ。そのことは市の財政状況に表れている。一般会計予算は二〇一〇年度に二百六十三億円だったのが、今年度は一千二百十三億円に増加している。国や県を通じて復興予算や、除染費用が流入したからだ。南相馬が特殊なのは、除・・・