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社会・文化

すさんでいく「公共図書館」

武雄市「TSUTAYA」委託が最悪例

2015年2月号

 公共図書館の「無料貸本屋批判」が起きたのは二〇〇〇年前後だった。それから十年以上が経過し、図書館はさらに酷い状況になっている。関東地方のある市立図書館の職員は危機感を露わにする。 「『図書館とはなんなのか』という根源的な問いに直面している」  無料貸本屋議論のきっかけは「複本購入批判」だった。一つの図書館がベストセラーを複数、ときに十冊以上も購入することの是非が問われた。議論の盛り上がりを受けて、〇三年に日本図書館協会と日本書籍出版協会が実態調査を行ったが、報告書では「軽々に結論が出るものとは思いません」という表現でお茶を濁しただけだ。 「図書館の役割を真剣に考える司書が激減している。このままでは貸本屋以下の存在になる」  前出図書館職員は嘆く。「書を司る」という崇高な使命を負ったはずの司書が劣化しているという。 本を選ばぬ司書が増加  司書は図書館法によって定められた国家資格だ。自治体が設置する公共図書館では資格を持つものしか司書になれない。文部科学省のホームページでは司書の役割について「図書館資料の選択、発注及び受け入れから、分類・・・

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