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社会・文化

医学部教授「巨額副収入」の実態

製薬業界がばら撒く「黒い講演料」

2015年3月号

「これで連中も年貢の納め時です」と医療業界誌の記者は溜飲を下げている。彼の言う「連中」とは、一昨年以来、不正への関与を指摘されてきた医学部教授たちだ。  この連中が恐れるのは、日本製薬工業協会(製薬協)の「企業活動と医療機関等の関係の透明性ガイドライン(以下、ガイドライン)」に基づく資金提供の開示だ。今年から「C項目」と呼ぶ「講師謝金、原稿執筆料・監修料、コンサルティング等業務委託費」が公開される。つまり、どの医師が、どの製薬企業からいくらもらっているかが白日の下に晒されるのだ。製薬協は二〇一一年一月にガイドラインを策定し、一三年三月に改定。昨年より奨学寄附金など、一部の情報の開示を始めた。  ガイドラインに基づく情報開示を進める上で、医師が最も抵抗したのがC項目である。日本医学会など業界団体はもちろん、様々な医師が反対した。製薬協関係者は「日本糖尿病学会の幹部からは、『C項目を公開したら、今後、臨床開発には一切協力しない』と凄まれましたし、大阪大学の森下竜一教授からは『こんなデータを開示して、子どもが誘拐されたら責任をとってくれるのか』と脅されました」と言う。 天皇の主治医も百回以上の講演・・・