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米・イラン「接近」が招く大禍

中東「宗派紛争」は制御不能の惨事に

2015年4月号特別リポート

 日本の新聞紙面では「小さい噴火」かもしれないが、地下のマグマは大爆発を引き起こすかもしれない。中東イスラム教スンニ派の雄サウジアラビアは三月二十六日に、シーア派の本家イランが支援するイエメンの武装勢力「フーシ」への軍事作戦に踏み切った。イエメン南部タイズや北部サアダのフーシ拠点は空爆を受けている。首都を逃れたスンニ派のハディ・イエメン暫定大統領が軍事介入を要請した結果、サウジアラビア、カタール、クウェート、バーレーン、アラブ首長国連邦(UAE)の湾岸五カ国を中心に、二十二カ国・地域からなるアラブ連盟は「アラブ合同軍」を創設した。中東の複雑な紛争をシーア派対スンニ派の対立で片付けられるわけはないが、現にイランとサウジアラビアは正面から対決したのである。

 イランとは国連安保理常任理事国の他の四カ国ならびにドイツを巻き込み六カ国で核開発を阻止するための交渉を続けてきたオバマ政権は、合意を目前に控えて重大な事態に直面した。イランの核開発阻止に没頭してきたオバマ政権はイランに接近すればするほどサウジアラビアやエジプトなどのアラブ連盟との敵対関係を迎えてしまう。イランはオ・・・