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連載

続・不養生のすすめ53

コレステロール、善玉・悪玉の嘘(1)
柴田 博

2015年5月号

 先月号で、血中コレステロールを薬物で低下させた場合のその後の死亡率について述べた。このデータは、発表されてからかなり時間が経っていることと、この結果を不都合と考える団体の思惑もあり、しばらく表舞台から姿を消していた。血中コレステロール値を百八十未満にすることの恐ろしさを改めて認識した読者も多かったようである。

 ここで一つ読者の皆様にお詫びをし、訂正しておきたいことがある。先月号のこのコラム九十三頁二段目の「LDLコレステロールの値も低いほど総死亡率が低くなる……」という表現である。傍点をつけた低は高と書くべきところである。単純なしかし致命的なミスである。二〇一二年十月号の本コラムで高LDLコレステロールと総死亡率の論文を紹介していただけに恥ずかしいかぎりである。このミスは文脈からも明らかなので、著者校正の甘さを深く反省している。ミスをご指摘くださった読者の方には深く感謝申し上げる。

 ともあれ、先月号のコラムに対する反響を通じて痛感したことは、血中コレステロールに関する基本的な事柄を誤解している方が実に多いとい・・・