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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》 子宮頸癌ワクチン

薬害「捏造」で若き女性が殺されていく

2015年6月号

「マザー・キラー」。欧米では子宮頸癌をこう呼ぶ。二十代から四十代の母親世代の女性を殺すこの病魔の原因のほとんどはヒトパピローマウイルス(HPV)の感染だ。これを防ぐために世界中で使われているHPVワクチン(子宮頸癌予防ワクチン)の接種が、日本ではほぼ止まっている。「HPVワクチンは危険だ」という大噓が拡散され、副反応の被害者は不可侵の存在となり、接種率を上げることは絶望的な状況となっている。結果として今もなお、子宮頸癌患者予備軍が増え続けるという悲劇が止まらない。


提訴できない「被害者弁護団」


「このままでは誰も救われない」

 HPVワクチンの被害者救済に携わる若手弁護士は嘆いた。副反応に苦しんでいるとされる被害者が救われないのかと思うだろうが、それだけではないという。

 今の状況を招いた「戦犯」を知るためには、HPVワクチンについて少し振り返る必要がある。世界初のHPVワクチン(商品名:ガーダシル)を開発したのは、米国の製薬会社メルクで、二〇〇六年に米国で承認・・・