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経済

世界債券市場に「異変」あり

金融緩和バブル「破裂」の凶兆

2015年6月号

 世界の債券市場が危険な曲がり角を迎えている。長らく続いてきた世界的な低金利の時代が終わりを告げ、金利上昇に向かう異変は時間の問題になってきたからだ。それは債券市場の暴落に直結し、株式市場も大きな影響が避けられない。デフレと低金利に慣れ切り、債券バブルは必ず破裂するという認識が希薄になった日本が手痛いしっぺ返しを受ける日はそう遠くないだろう。 「年内に利上げするのが適切だろう」。米連邦準備制度理事会(FRB)のジャネット・イエレン議長は五月の講演会でこう言明した。金融危機後に米国、欧州、そして日本は順次、異次元の金融緩和を継続してきた。債券の価格は市場金利との関連で日々変わる。その変動で債券の利回りも動く。金利上昇の局面では債券の価格は下がり、逆に金利が低下すれば債券の価格は上がる。つまり、金利上昇のトレンドに入れば、債券価格の下落に歯止めがかからなくなる。 ドイツ国債の異常  債券王の異名で知られる「ジャナス・キャピタル・グループ」ファンドマネジャー、ビル・グロース氏は「私は三十五年に渡って続いた株と債券の強気相場が終わりつつあると考えている」と繰り返・・・