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社会・文化

醜悪なるミラノ万博「日本館」

「和食ビジネス」に群がる欲得の亡者

2015年6月号

 イタリア・ミラノで「食料とエネルギー」をテーマとした国際博覧会(万博)が開かれている。日本政府は、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録された「和食」を売り込む絶好の機会ととらえ、参加約百五十の国・地域・機関の中では最大規模のパビリオンを設けた。しかしこの日本館からは「和食」をビジネスとしてだけ考える底の浅い関係者の思惑ばかりが透けて見える。 メッセージ性がゼロ  五月一日開幕の万博で、日本館は一時間待ちの行列ができるほどの人気だ。特に館内のフードコートは、食券を求める行列が途切れないほどの盛況ぶりで、カレーライスや天ざるそばが売れている。文化遺産としての「和食」を伝える場、というよりは地方のデパートの飲食フロアのようだ。  祭り好きのイタリアではあるが、ローマに国連食糧農業機関(FAO)の本部を置くだけあって、ミラノ博の開催に先立って、「食料を得る権利は基本的人権」と位置付けた「ミラノ憲章」を起草するなど、飢餓対策や飽食による肥満問題などグローバルな課題を真剣に考える機会としている。イタリアは本館とは別に「スローフード館」を設け、子ども・・・