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「存立危機事態」の南シナ海

米国が守りきれない「太平洋の秩序」

2015年7月号特別リポート

 どちらが天下を取るか、関ヶ原の戦いが始まったと思えばいい。南シナ海を含めた太平洋では戦後この方パクス・アメリカーナ(米国による平和)が保たれてきたが、これに中国は大胆不敵な挑戦を試みているのだ。米国が支えてきた秩序が簡単にパクス・シニカ(中国による平和)に転換されるとは考えにくいが、六月二十二日から二十四日までの三日間にわたってワシントンで開かれた米中戦略・経済対話では、サイバーテロや南シナ海をめぐる根本的な対立が露呈された。それでも、九月の習近平国家主席の訪米という最大の外交イベントを成功させようとの配慮が両国に働いているせいかもしれない。とくにバイデン副大統領の発言には努めて相手の顔を立てようとする弱気の発言があまりにも目立ち過ぎた観があった。

 米中間の対立の象徴は、南シナ海ですでに中国が人工の島をつくり上げてしまった既成事実にほかならない。加えて昨年十二月に米連邦政府人事管理局(OPM)の情報システムがハッカーによる攻撃を受け、一千八百万人分以上の個人情報が流出した事件が、南シナ海問題と同じく中国の国際社会の常識に反する犯罪だと米側は厳しい反発を示してい・・・