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経済

電力インフラ「老朽化」の惨状

日本を「停電大国」にする経産省の罪

2015年7月号

「水と安全はタダ」という発想は日本にしか通用しないと言われてきたが、日本人がいつでも使えると信じて疑わないものがもうひとつある。電力だ。もちろん電力には対価を払っているが、安定供給されるのが当たり前と大半の日本人が思っている。だが、世界をみれば途上国はもちろん、先進国ですら停電や電圧、周波数の乱れは頻発し、様々な障害を引き起こしている。安定した電力は日本の隠れた強み、利点だったが、実は今、風前の灯になりつつある。  今年四月七日午後、ホワイトハウスや国務省、財務省、議会など米国の中枢が立地するワシントン中心部を停電が襲った。ちょうど報道官が会見中だった国務省ではテロとの情報が広がり、職員が避難する騒ぎにもなった。数時間後に電力は復旧したが、ワシントンでは昨年三月にも議会周辺で停電が起きており、世界の政治、経済を動かす最重要地域の電力供給の不安定さを浮き彫りにした。  東京の霞が関、永田町、大手町といった日本の中枢で同じことが起きることはほぼないと断言できる。一般には極秘にされているが、霞が関など重要機関のある東京中心部の電力供給には首都圏をめぐる四重のループ線が敷設されてお・・・