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社会・文化

個人情報は流出するものと心得よ

武田 圭史(慶應義塾大学環境情報学部 教授)

2015年7月号

 ―個人情報などの流出が問題になっていますが、これは防ぐことができるのでしょうか。

 武田 日本年金機構や東京商工会議所で発覚したような攻撃による流出を完全に防ぐことは不可能だ。表沙汰になり、報道されるケースは一部に過ぎない。年金機構や東商以外の場所で、今も多くの情報は漏れ続けていると考えるべきだ。ウイルス感染などのサイバー攻撃による情報の流出は長期間にわたって行われた上、盗まれている側も気づかないものが多い。過去の例でも、発覚の一年以上前から情報が流出し続けていたなんてことはざらにある。百万件という漏洩数ばかりが注目されるが、今回のケースは比較的早く見つかり、被害を抑え込めたほうだ。


 ―流出事件は過去にも繰り返し起きていますが、日本の問題点はどこにありますか。

 武田 事件が起きた時に、流出させた側の責任ばかりが追及されるのはおかしい。確かにセキュリティ上の問題はあっただ・・・