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習近平が行き詰まる 「株価問題」

権力闘争と連動する「暴落」の謀略

2015年8月号

 八月、中国政治の舞台は北京から河北省の海浜リゾート、北戴河に移る。特権階級のための別荘に集まった共産党指導部と党、軍の長老たちが、その年の秋の党中央委員会全体会議(今年は「五中全会」)をにらんで政治的利害を内輪で調整する通称「北戴河会議」だ。  党内派閥のボスたちの非公式の会議だけに、激しい権力抗争が演じられてきた。今年は習近平国家主席にとって三度目の「暑い夏」だが、かつてない不安を抱えて迎えることになった。六月末に起きた株価の暴落がその原因だ。  上海、深圳の市場で「ギリシャの国内総生産(GDP)の三つ分が蒸発した」と騒がれた。李克強首相が「暴力式介入」と自称する強引な買い支えで七月後半になって市場は安定を取り戻したが、いつまで続くか保証はない。  もし北戴河会議の最中に再暴落したらどうなるか。習近平の反腐敗運動に恨みを抱く江沢民元国家主席ら党や軍の長老が勢いづいて総攻撃に出ることは間違いない。嵐のような買い支えの最中に上海の市場関係者がこう漏らした。「上の方が八月十五日まではなんとかしろと言っている」。例年、北戴河会議が終わるのは十四日だ。それまで・・・