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政治

《政界スキャン》

安倍に再び「政権統率力」の限界

2015年8月号

 新国立競技場建設の白紙撤回が遅すぎたのは、安倍晋三が森喜朗に手こずったからである。

 表明の前夜、清和会(安倍派)幹部らは料理屋に森を招き、言葉少なに安倍が陪席するなか総がかりで説得。翌日、官邸に乗り込んだ森が首相の要請を承服する場面まで演出した。ずいぶん念の入った儀式ではないか。

 誰に責任があるかを追及するより、安倍と森の異様な心象力学を、その淵源からひも解く方が、政治的にはずっと意義深い。

 三年前。民主党政権末期。近づく解散総選挙をにらんで、九月の自民党総裁選は事実上、次期首相選びの場だった。本番一カ月前の時点で、安倍はまだダークホースでしかない。

 所属する町村派は、会長・町村信孝と安倍の二候補に分裂。派閥オーナーである森は、安倍に自重を求め、断られると、長老グループで石原伸晃を担ぎ出す。

 選挙は党員に一番人気の石破茂と石原の対決に、安倍がどこまで絡むか、という構図。圏外の町村は、恨みを飲んで選挙中に入院し、政治的に失墜していく。

 この時は・・・