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政治

《罪深きはこの官僚》 樽見英樹(厚生労働省年金管理審議官)

個人情報漏洩の早期幕引きを画策

2015年8月号

「年金機構の個人情報漏洩で他の案件が棚上げになり、省内は交通渋滞。年金局以外の部署からは不満が出ている」

 厚生労働省担当の全国紙記者はこう語る。六月に発覚した日本年金機構へのサイバー攻撃とその後の個人情報漏洩は、七月に入っても尾を引いた。懲りない年金機構と厚労省に対する野党の追及は続いていたため、同省が一種の機能不全になっているのだ。

「厚労省は今回も問題をうやむやに終わらせようとしている。八月中旬に報告書を出して早くも一定の幕引きをするつもりだ」

 前出記者はこう批判する。二〇〇七年、第一次安倍政権時代に発覚したいわゆる「消えた年金問題」は政権を大きく揺るがした。この件を早く収束させたいことで官邸との思惑は一致している。

 拙速で杜撰な対応を主導しているのは、年金管理審議官である樽見英樹だ。七月三日の衆議院厚生労働委員会では、機構と厚労省が情報漏洩発覚後もメールをやりとりしていた点が問題となった。外部との接触を遮断すべき時にメールを使うというあり得ない事態だが、厚労省側は機構とのやりとりは外部か・・・