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WORLD

「逆噴射」する中国経済

世界市場「連鎖崩落」の諸悪の根源

2015年9月号

 株価、鉱工業生産、輸出から自動車販売まで中国のあらゆる経済指標が一斉に下を向き、習近平政権の繰り出す政策はことごとく裏目に出ている。四大直轄市のひとつ天津では謎多い爆発事故が起きた。中国経済は改革開放以降、最大の危機を迎えているといっても過言ではない。  そのなかで習政権が進もうとしているのは市場を縛り、政府がコントロールする統制経済への道だ。経済格差への大衆の不満を捉えた「反腐敗闘争」を使って、政敵打倒を図った「習改革」は今、中国を歴史の逆行の迷路に引きずり込み、世界経済をも激しく動揺させている。 金融市場で炸裂した強力な〝爆弾〟  天津市浜海新区。巨大なクレーターがぽっかり開いた爆発現場を、揃えたような白い長袖シャツの一行が訪れたのは八月十六日午後、爆発から四日目のことだった。“白シャツ軍団”の中心にいたのは李克強首相。中国の指導者にお決まりの現場を指さし何か指示するポーズでカメラに収まると、一行は足早に立ち去った。新華社は「李首相が現地で救援活動の陣頭指揮を執り、原因究明を厳命した」と伝えた。  二〇〇八年の四川大地震の際に温家宝首・・・