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サウジとロシア「急接近」の真意

米国の「石油産業潰し」で悪巧み

2015年9月号

 サウジアラビアとロシアが今年に入って急接近している。サルマン国王の息子で国防相のモハンマド副皇太子が六月にロシアを訪問したのに続き、八月下旬には国王自身がモスクワに足を運んだ。財政面では、金欠に苦しむロシア政府にポンと、百億ドルの投資を決めた。サウジとロシアは、アメリカも含めた三国で石油王国の座を争うライバルだが、突如形を現したリヤド=モスクワ枢軸に、オバマ米政権は困惑の体である。  サルマン国王は今夏、南フランス・コートダジュールのバロリスで、王が所有する広壮な別荘一帯の海岸から、一般客を閉め出して休暇を楽しんだ。ビーチの独占はさすがに仏国内で大騒ぎとなったため、国王は仏滞在を短縮して、残りの休暇をモロッコ・タンジールで過ごした。 「すごい大名旅行でしたね。カネの使いぶりが半端ではなくて、石油価格の下落の影響なんて、全く感じさせなかった」と、フランス人テレビ記者が言う。南仏への随行員は約一千人。夫人たちも、この時とばかりに、コートダジュールの高級ブティックで買い物を楽しんだ。 中東情勢を一変させる「緊密化」  秋風が吹き始めた頃のモスク・・・