混沌の厚労省次官レースで 「問題官僚」がいまだ生き残り
2015年9月号
国会終了後にも予定されている厚生労働省人事で、村木厚子事務次官の後任がいまだ見えてこない。
有力候補とみられているのは、唐澤剛保険局長と二川一男医政局長の二人。実はこれに香取照幸年金局長も加わる。
香取氏は、「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」の改革を巡って塩崎恭久厚労大臣と激しく対立した。GPIFへの厚労省の影響力を残したい香取氏は、大臣の頭越しに官邸に働きかけ、最終的に官邸が香取氏に同調した。この過程で大臣室への出入り禁止を言い渡されるなど、塩崎氏に目の敵にされていたため、次官レースから脱落したという観測も出ていた。さらに、年金局が所管する日本年金機構からの個人情報大量流出事件が発生したことが追い打ちとなった。
しかし、人事発表まで約一カ月となった八月末の時点で「香取氏の名前は消えていない」(厚労省担当記者)。塩崎氏は秋の内閣改造で厚労相から外れるとみられており、天敵が去ることで「次官の目は残っている」(同)という。「十年に一人のエース」と言われた香取氏は、塩崎氏との全面衝突で「むしろ男を上げた」との声も省内にはある。「ダークホース」ではなく有力・・・