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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》「弘道会」の経済力

分裂騒動でも衰えぬ「黒い錬金術」

2015年10月号

 ちょうど三十年前の一九八五年、小牧に代わる中部地方の新拠点空港の建設に向けた国の調査が始まった。建設候補地が決定し、実際の工事が始まるのは時が下ってからだが、この空港建設が地元暴力団の資金源になったことは愛知では知る人ぞ知る話だ。

 この調査の前年、八四年に引退した先代の組織を引き継ぎ、看板を変えて山口組の直系組長としてデビューしたのが、司忍(本名・篠田建市)である。掲げられた看板には前身組織から一文字継承して「弘道会」という名がしたためられた。

 司忍を頂点とする山口組が八月下旬から九月上旬にかけて突如として分裂し、業界内部はもちろん警察も臨戦態勢になっている。内部事情を巡る報道が溢れ返り、「抗争が起きるのか否か」で様々な臆測が飛び交う。

 警視庁の組織犯罪対策課関係者が語る。

「世間で言われている通り、撃った撃たれたという派手な戦争にはならないだろう。水面下で続いている分裂組織の切り崩しで意味を持つのは拳銃でも日本刀でもなくカネだ」

 資金力を比較すれば山口組本体のほうが・・・