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社会・文化

知られざる海上自衛隊「潜水艦隊」

中国軍と対峙する「隠密部隊」の実像

2015年11月号

 南シナ海で中国と米国の緊張がにわかに高まってきた。オバマ米政権は南沙(英語名スプラトリー)諸島で中国が「領海」と主張する人工島の十二カイリ(約二十二キロ)内にミサイル駆逐艦を派遣したことで、中国を強く牽制している。他方、中国は尖閣諸島を含む東シナ海の上空に防空識別圏(ADIZ)も設定。だが、報道されている中国の海上や空の傍若無人な振る舞いはどれも可視化されている。  実は、この表舞台の攻防とは別次元の深海で繰り広げられているせめぎ合いこそ、軍事対立の最前線なのだ。その主役は「海の忍者」こと潜水艦にほかならない。機密の塊である軍事の中でも潜水艦が「秘中の秘」と言われるのはなぜか。どんな任務と役割を負っているのか。ベールに包まれてきた海上自衛隊の潜水艦の実像を明らかにする。 たった一隻で米艦八隻を撃沈 「なぜ撃沈されてしまうんだ!」。一九九八年、ハワイ沖での環太平洋合同演習(リムパック)。米太平洋艦隊のクレミンス司令官は海自の潜水艦一隻に軍艦が次々と沈められるモニターを見つめながら、こう絶句した。リムパックでは米国と味方を青色、旧ソ連側を赤色に分け・・・