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経済

《経営者東京裁判》 岡田 元也(下) (イオングループCEO)

三十一歳・長男への「世襲問題」

2015年11月号

「イオン銀行は単なる銀行ではない。イオンで買い物をしてもらっている普通の人たちに便利な金融サービスを提供するというのがイオン銀行の考え方であり、スタンスだ」。イオンが金融庁から免許を取得して銀行業務に新規参入、イオン銀行として営業を始動させたのは二〇〇七年十月のこと。以来、グループCEO(最高経営責任者)の岡田元也はその理念と役割をこう強調し続けてきた。

 けだし至言というべきか。確かに「単なる銀行」ではなかろう。何しろ公的資金を食い物にし、さらには貸金業法規制の網から逃れる器として悪用したうえ、いまではほとんど機関銀行としてグループ企業の財布代わりに使っているのだから。

 セブン&アイ・ホールディングス傘下のセブン銀行の成功に対する「やっかみ」(イオン関係者)から銀行業務に打って出たものの、設立以来四期連続最終赤字に陥って切迫脳死状態だったイオン銀行が突如、息を吹き返したのは一二年三月期。前期の十九・七八億円の連結赤字から、一気に四二・七一億円の黒字へと急浮上を遂げたのだ。

 転機となったのは、経営破綻した日本振興銀行・・・

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