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連載

西風 414

ノーベル賞が憎い自民大阪府連

2015年11月号

 十月五日に大村智北里大学特別栄誉教授がノーベル医学生理学賞を受賞したニュースを、恨めしく見ていた数少ない日本人が大阪にいる。十一月二十二日の大阪府知事、市長ダブル選挙に向けて臨戦態勢の自民党大阪府連の面々だ。  自民党は市長選に柳本顕市議を擁立することが比較的早い段階で決まっていた。柳本氏は、大阪市議会で橋下徹市長と幾度となく激論を交わしてきた自民党市議団のエースだ。五月の都構想住民投票では先頭に立って反対を訴えメディアで繰り返し取り上げられた。  一方、知事候補選びは難航を極めた。当初は住民投票時に都構想反対の論陣を張った京都大学大学院教授の藤井聡氏に出馬を打診。再三にわたる要請を断られ、今度は大阪市出身の俳優、辰巳琢郎氏に声をかけた。ここでも断られて、今度は厚生労働省を退職したばかりの前事務次官、村木厚子氏に要請したが、十月に入ってやはり固辞された。「冤罪のヒロイン」に袖にされて自民党府連はようやく「身内から出すしかない」と追い込まれたのだ。  最終的に白羽の矢が立ったのは、現職府議の栗原貴子氏だ。栗原氏は二期目の府議で、政治的手腕はほぼ未知数だ。ただ、候補とし・・・