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社会・文化

警視庁捜査二課が次に狙う「官僚」

経産・防衛「キャリア」の汚職摘発に奮闘中

2015年12月号

「次はキャリアを狙っている。二課らしく表向きはクールだが、昨年の屈辱を晴らそうと死にもの狂いだ」  警視庁担当の全国紙ベテラン記者は現在の捜査二課の様子についてこう語る。知能犯を担当し、詐欺や横領、選挙違反などを摘発する捜査二課。中でも「サンズイ」と呼ばれる汚職事件の摘発が二課の華だ。捜査員約三百五十人の陣容を誇り、全国一の精鋭と呼ばれる警視庁捜査二課は二〇一四年、贈収賄での摘発が一件もないという屈辱を味わった。二課長から捜査員に発破がかけられたのか、今年春以降、目に見える成果を出し始めた。  四月に、日本貨物鉄道(JR貨物)が発注した貨物ターミナル内の物流施設を巡り、業者から風俗店で接待を受けたとして同社社員が逮捕された。前出記者が語る。 「現金の授受が確認できなかった。接待の場合は百万円が一つの目安だが、摘発当時はそのギリギリのラインで、『遮二無二摘発しているな』と感じた」  JR貨物は株式を国が一〇〇%保有していることから社員は公務員に準じる扱いをされ、贈収賄摘発の対象となる。いわゆる「みなし公務員」であることから、この事件を「〇・五件分の摘発」(別の社会・・・