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経済

《経営者東京裁判》黒田 東彦(日本銀行総裁)

日本を「貧困化」させた張本人

2015年12月号

 ここまでこの国を貧困化させた男がいるだろうか。IMF(国際通貨基金)が公表しているデータによると、二〇一四年における日本の名目GDP(国内総生産)はドルベースで四兆六千二十三億ドル。規模で世界三位の地位こそ維持しているものの、前年より六・五%目減りし、一二年の水準(五兆九千五百七十二億ドル)からは一・三五兆ドル超、およそ二三%も収縮した。

 凋落ぶりは国民一人当たりのGDPに換算するとさらに際立つ。約三万六千二百二十一ドルで、世界ランクは二十七位。一二年には四万六千六百八十三ドルで十七位につけていたが、わずか二年間で十も順位を落とした計算だ。景気変動の激しい新興国ならまだしも、成熟した先進国では異例だろう。ことアジア地域(中東を除く)に限ってみてもシンガポール、ブルネイに次ぎ、一四年にはついに香港にも抜かれて四位へ転落。五位韓国の足音も背後に迫る。

 衰退の原因はほかでもない。この男、黒田東彦が一三年四月にぶっ放したバズーカだ。量的・質的金融緩和(QQE)―。通称・異次元緩和と呼ばれる「円の大盤振る舞い」(証券筋)で、一二年後半辺りからじわ・・・