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経済

《クローズ・アップ 》小山田 隆(三菱東京UFJ銀行次期頭取)

新トップを待ち受ける「難題」

2016年1月号

 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は傘下の中核銀行、三菱東京UFJ銀行(BTMU)の次期頭取に小山田隆副頭取(兼MUFG副社長)を昇格させる首脳人事を固めた。社外取締役五人と平野信行MUFG社長兼BTMU頭取で構成する指名・ガバナンス委員会で今年一月末にも決定、四月正式に就任する。平野頭取は会長に、永易克典会長は相談役に退く。小山田氏は早ければ来春にも平野氏の後任としてMUFG社長にも就任する見通しで、国内最大の民間金融グループの実権を一手に掌握する形となる。

 小山田氏は一九七九年東京大学経済学部卒業後、旧三菱銀行に入行。早くから将来の頭取候補と目されて周囲の注目を集め、企画畑中心にキャリアを積み重ねてきた。トップへの道筋を「ほぼ確実なものにした」といわれているのが当時、巨額の不良債権を抱えて財務基盤が劣化し、苦境に喘いでいたUFJグループとの経営統合交渉だ。二〇〇四年五月に特命担当の総合企画室長に起用されるや水面下で折衝を重ね、わずか二カ月後の七月には統合へ向けて両者が協議に入ることへの合意発表にこぎつけるなど、その外交手腕は「水際立っていた」(・・・