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《政界スキャン》

安倍政治への「対抗軸」を作る方法

2016年1月号

 一兆円で同日選を買う―。

 財源規模をひと息に破格の大台へ引き上げた消費税軽減税率の決め方は、安倍官邸が今年夏、渋る公明党に「うん」と言わせ、何としてでも衆参一括選挙へ持ち込もうとしている底意をあからさまに見せつけた。

 五百円の弁当を店で食べずに持ち帰れば、五十円の消費税が十円安くなるのだという。たかが十円、されど十円。粗略にはできないが、その十円に消費行動がどれだけ影響されるのか想像すると、あまり本質的な問題ではないような気もする。

 それでも、積もり積もれば国全体で年間一兆円と言われると、一人一人の実感と別に、大層な配慮をしてもらった気になるから、これは選挙キャンペーン用のイメージ作り以外の何ものでもない。自公協議の三千四百億円や八千二百億円といった数字は、首相指示を大きく見せる見せ金に過ぎず、初めから「一億総活躍」とセットで、景気のいい「一兆円減税」ありきだったのだろう。

「一億」とか「一兆」とか、なりはでかいが、中身はスカスカである。予算ができたのに、「新三本の矢」に並べた経済成長も少子・・・