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社会・文化

「血液製剤利権」の危ない病巣

献血の善意踏みにじる「化血研事件」

2016年1月号

 内部告発をきっかけに明るみに出た化学及血清療法研究所(化血研)の不祥事の余波が続いている。  化血研は、血液製剤の製法について、申請時に届け出ていなかった抗凝固剤(ヘパリン)を添加するなど、合計三十一もの工程で国の承認と異なる方法を使っていた。厚生労働省は、十二月下旬に立ち入り調査を行ったが、不正を四十年以上も見落としてきた同省の「アリバイ作り」の調査に意味はない。書類に紫外線を照射して作成日を偽装するなど悪質な隠蔽工作を組織ぐるみで行っていた理由を理解するためには、我が国の「血液ムラ」の歴史と利権構造を知る必要がある。 天下り官僚を受け入れ  政府は「血液製剤やワクチン事業など主力事業を他社に譲渡して、化血研を解体する方針を固めた」(政府関係者)というが、それだけでは問題は解決されない。ある厚労省OBが語る。 「厚労省と血液製剤メーカーなどが一体となった『血液ムラ』の独走がすべての原因だ」  このOBによれば、「血液製剤の国内自給」という国策が全ての原因だという。  きっかけは二十五年以上前、一九八九年にまで遡る。この年、東京、大阪・・・