追想 バテレンの世紀 連載118 一揆を包む信仰の熱気渡辺京二 2016年1月号 一揆が最初から狂信的ともいうべき信仰の熱気に包まれていたことには、数々の証言がある。先述したことの繰り返しになる嫌いもあるが、改めて確認しておこう。 蜂起の当初から「かづさじゅわん廻状」「佐志木作右衛門廻状」は、天草四郎という「天人」が出現して「審判」が行われ、異教徒は滅ぼされると述べていた。だから一刻も早くキリシタンに立ち帰れというのである。