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インドが「水危機」で大混乱

モディ政権「最難関」の課題に

2016年6月号

 インドが独立以来最も深刻な水不足に陥っている。二〇一四年と一五年の二年連続で、モンスーン期(六~九月)の降雨不足に見舞われた上、近年の経済発展による慢性的水不足が危機に拍車をかけている。水をめぐる地域間の紛争や衝突も頻発し、「水戦争」が全土を覆う事態となり、ナレンドラ・モディ首相の対応にも厳しい批判が集まっている。
住民たちが武装する「水戦争」
 インドの夏は桁外れに暑い。それでも今年は特別だ。
 五月十九日、インド最大面積のラジャスタン州にあるファーロディという都市で、同国観測史上最高の気温五十一度を記録した。米国のデスバレーが五十六度以上を記録したことがあるが、同州には七千三百万人が住んでおり、この猛暑で農地を耕して、日々の生計を立てなければならないのだ。
「今年の夏はインド独立以来最悪のものだ。これほどの干ばつは過去数十年見たことがない」と、水問題に取り組むNGO(非政府組織)「南アジアのダム・河川・住民ネットワーク」のヒマンシュ・タカール氏は言う。六月に始まるモンスーン期に、今年もまた降雨が少ないようだ・・・