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政治

小泉進次郎「JA利権解体」は本気か

「一丁目一番地」生乳流通改革の攻防

2016年6月号

 今年初め、農林中央金庫に激震が走った。自民党農林部会長の小泉進次郎氏が農林中金について「融資のうち農業に回っている金額は〇・一%しかない。農家のためにならないのならいらない」と痛烈に批判したからだ。全国約七百の農協(JA)を傘下とするJAバンクの総本山で、貯金残高約五十一兆五千億円、メガバンクに匹敵する農林中金を「不要」と切り捨てたのだ。JAグループにとって、昨年四月の萬歳章JA全中(全国農業協同組合中央会)会長の辞任に続く二番目の衝撃波だった。
 萬歳氏辞任後のJAグループ内の選挙で、わずか五票差で全中会長に就任した奥野長衛氏は「対立より対話」を掲げて安倍政権に対して恭順姿勢を鮮明にしている。小泉部会長は、講演などで「部会長に就任した時に、JA全中会長が交代していて幸運だった。私と奥野会長の思いは同じだ」と繰り返し、自民党の翼賛組織と化したJA全中にエールを送る。
 農林中金や全国共済農業協同組合連合会(全共連)は、全中を差し出す代わりに、利益の源泉である「准組合員制度」をとりあえず維持したと安堵したが、それは甘かったと思い知らされただろう。冒頭の小泉発言は、い・・・