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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》日本外科学会

医療を腐らせる「黒い利権装置」

2016年6月号

 その名称の響きから想起される高邁なイメージとは対極的に、数多ある医師の学会の中でも日本外科学会ほど不可解な組織はない。この組織は我が国の外科医療に貢献することがほとんどないにもかかわらず、身の丈に合わぬ名誉とカネを抱え込む利権装置だ。権威を盾にして、札付きの問題医師を含む幹部連中がその看板の陰で甘い汁をむさぼっているのだから、大企業の不正に勝るとも劣らずタチが悪い。さらには自らが権限を握る専門医認定制度を改悪し、集金と権力強化につなげる策動も続く。この集団に鋭いメスを入れない限り、外科医療の地盤沈下を止めることはできない。
死亡事故続発「群馬大」が会頭に
 老いれば誰しも病を患う。手術が必要なら、名医に切ってもらいたい。我が身を委ねる外科医は、患者には神のように映る。外科医のプライドは医師の中でも突出して高い。そんな外科医を代表する組織が日本外科学会だ。設立は一八九九年(明治三十二年)で、会員は三万九千七百四十二人。理事長は渡邉聡明・東京大学教授が務める。表看板は「学術文化の発展」「国民の健康と福祉への寄与」が目的だという。{br・・・

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