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米政界に蔓延る 「軍=情報複合体」

安保政策の主題は「サイバー」に

2016年5月号

 米大統領選の有力候補の安全保障・外交チームが出揃った。ヒラリー・クリントン前国務長官が民主党系の手練を集めて手堅い布陣を敷けば、共和党のテッド・クルーズ上院議員は超タカ派を揃えた。代議員獲得数でリードするドナルド・トランプのチームは、「小粒」と評される。各陣営に共通するのが、軍事とサイバー双方に強い人材の配置で、誰が勝っても、米軍と情報機関関係者が安保政策を仕切る構図に揺るぎはない。
大統領候補「安保チーム」の共通点
 有力候補の安保チームで、首都の外交界を最も驚かせたのが、クルーズ議員だった。安保チームを率いるフランク・ギャフニーが、「陰謀論の大家」と皮肉られるタカ派評論家だからだ。
 米国に敵対する諸勢力は、必ずひそかに裏で手を結んでいるというのが彼の世界観。ギャフニーによれば、ソ連共産党(後にロシア政府)、中国政府、イラクのサダム・フセイン、イスラム過激派は、時を変え、所を変え、連携相手も変えながら、対米陰謀に加担してきたという。自分が気に食わない人物を頻繁に「スパイ」呼ばわりし、最近ではクリントン側近の一人を「ム・・・