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経済

《企業研究》セブン&アイHD

カリスマ追放で山積した「経営難題」

2016年5月号

 「流通のカリスマ退場」「コンビニの父引退」―。鈴木敏文会長兼CEO(最高経営責任者)の去就問題を巡り大揺れに揺れたセブン&アイ・ホールディングス(HD)。ひとまずは四月十九日、コンビニエンスストア事業を担う中核子会社、セブン-イレブン・ジャパンの井阪隆一社長(兼セブン&アイHD取締役)が鈴木氏に代わり、グループの顔を担うことで決着したが、余燼はなお燻り続ける。
 今回のお家騒動が表面化したそもそもの発端は二月十五日、鈴木会長が井阪氏に社長退任勧告を突き付けたことにはじまる。これをよしとしない井阪氏は激しく抵抗したが、鈴木会長は押し切って井阪氏の社長交代を軸とする人事案を四月七日の取締役会に付議。採決の結果、交代支持派は全十五人中七人で過半数割れとなって否決され、井阪氏の首は「まさに皮一枚」(業界筋)残してつながった。
 それなのに新たに決まった首脳人事では、鈴木会長および鈴木氏と一蓮托生だった村田紀敏社長兼COO以外の取締役は全員留任する。要するに井阪氏は、このとき自分をクビにすることに賛成した鈴木・村田両氏を除く取締役五人を「獅子身中の虫」として抱え込んだまま今・・・

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