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経済

楽天「三木谷経営」の どん詰まり

国内でも海外でも限界露わ

2016年5月号

 「迷走もここまで来ると苦笑いしか出ない」
 三月に大々的に発表された楽天による「ドローン宅配事業への参入」。大学発ベンチャーなどと手を組み、四月には実証実験が行われたが、同社を取材する経済誌記者はこう語った。
「アマゾンの二番煎じ。かつての物流事業参入失敗の二の舞だ」
 楽天は中核事業であるネットショッピングモール「楽天市場」の失速を糊塗しようとあの手この手を繰り出している。そのほとんどが裏目に出ているが、原因は代表取締役会長兼社長である三木谷浩史氏の指示による現場の迷走だ。海外事業の失敗もここに来て鮮明になり、同社は大きな曲がり角を迎えている。
社長直轄事業で止まらぬ減少
 今年三月上旬、楽天市場でひそかに事件が起きていた。楽天がイチ押しする「楽天スーパーディール(SD)」のテコ入れ策が、スタートした途端に打ち切られたのだ。楽天SDは二〇一四年から始まったサービスで、簡単に言えば「常設セール」。楽天市場に出店する全店舗が参加する期間限定の「楽天スーパーセール」と異なり、一年中商品を大幅値引き、もしく・・・