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ロシア「民族主義」の 危険な台頭

地下で爪研ぐ反政府「戦闘集団」

2016年4月号

 「私はテロリスト。ロシア人はこうして絞首刑になる」。モスクワ北西部の地下鉄駅近くで二月末、中央アジア・ウズベキスタン出身のベビーシッターが切断した女児の頭部を振り回しながらこう叫び、自爆を警告しながら徘徊する事件が発生した。その猟奇性もさることながら、奇妙だったのは、主要テレビ局がこの事件について全く報じず、沈黙を貫いたことだった。
 クレムリンは「テレビ各社の判断であり、それを支持する」との公式コメントを発表。しかし、ロシアの主要テレビ局はプーチン政権の完全な統制下にあり、これまで暴力や流血を報じることには全く躊躇してこなかった。複数の関係者は「この事件によって民族の問題に関心が集まることを警戒し、クレムリンが報道を禁じたのだ」と明言する。
 クレムリンがかくも「民族問題」を恐れるのは、外国人労働者や少数民族を敵視するロシア民族主義者が地下での戦闘準備に力を入れており、その刃が政権に向けられかねないためだ。
 ロシア民族主義者は、ウクライナ東部(ドンバス)での政府軍と親露派武装勢力の紛争に熱狂し、親露派側に多くの義勇兵を送り込んだ。しかし、紛争が膠着し・・・