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中東テロ組織「麻薬聖戦」の壮絶

中南米カルテルと組んで「巨万の利益」

2016年4月号

 国際的な麻薬カルテルとイスラム過激派のテロ組織が、麻薬売買や資金洗浄(マネー・ロンダリング)で全世界的な協力関係を築いている。テロ組織は中南米などから米欧への麻薬輸送を担当し、見返りに巨額の資金を得るほか、武器輸送も可能な世界的密輸ネットワークを使う。レバノンのイスラム教シーア派原理主義組織「ヒズボラ」が先駆だが、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」も麻薬ビジネスに参入しており、「ナルコ(麻薬)=ジハード(聖戦)」利益共同体への対処が急務になっている。
 今年二月、米麻薬取締局(DEA)は、ドイツ、フランスなど欧州四カ国の協力で、ヒズボラの「外事商務局」(BAC)の幹部ら多数を拘束したと発表した。容疑は麻薬密売への関与。この部局は、ヒズボラの外務・通商部門として、各国に活動範囲を広げていたが、実態は中南米産や中央アジア産の麻薬をヨーロッパで密売する活動拠点だったというのだ。「カッサンドラー計画」と名付けられた作戦は、今後さらに捜査を継続するとしている。カッサンドラーとはギリシャ神話の王女で、凶事を予言するのに優れていた。
 ヒズボラ指導者のナスララ師は、「全く・・・