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WORLD

「在韓米軍」の研究

北と中国を睨む最前線部隊の実力

2016年4月号

 三月十三日午前、巨大な軍艦が釜山沖に威容を現した。米海軍の原子力空母ジョン・C・ステニス(排水量十万三千トン)。乗組員約六千二百人、全長は東京タワーと同じ三百三十三メートル、高さは二十四階建てビルに相当する七十四メートルという巨艦だ。ミサイル巡洋艦やイージス駆逐艦、原子力潜水艦などで構成する打撃群の中心に位置し、米軍の力の象徴でもある。
 特に目を引いたのが、サッカー場が三面も入る一万八千平方メートル余の飛行甲板に艦載機をずらりと並べた姿だった。中東での戦闘で活躍している戦闘機FA–18ホーネット、敵の通信やコンピューターなどの機能を瞬時に潰す力があるとされる電子戦機EA–6Bプラウラー、早期警戒機E–2Cホークアイなど、艦載した約八十機のうち半分以上の約五十機を甲板に並べた。いったん戦闘行動に入れば、これらを二分ごとに二機ずつ発進させる能力を持つ。
 軍事専門家は「報道陣が集まる入港時に、わざわざ手持ちの駒を見せた。北朝鮮に対する圧力に他ならない」と指摘する。
 ステニスの釜山入港の前日には、北に五十キロほど離れた浦・・・