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経済

中国進出「日本企業」の悲鳴

経済危機の「巻き添え」で奈落へ

2016年4月号

   中国経済の危機は、輸出不振から過剰生産能力、官民の不良債権問題、さらに怒濤の資本流出にまで広がり、さながらガンが全身に転移したような有様だ。その病魔が今、日本企業にも襲いかかっている。中国政府の資本規制の強化によって、中国子会社の輸出入業務、日本本社への債務返済や配当、サービス対価の支払いなどが困難になっているからだ。反日暴動、労働争議、感染症などに続く、新たな中国リスクに日本企業は中国ビジネスの全面的な見直しを迫られている。
 広東省に進出しているトヨタ自動車系、ホンダ系の大手部品メーカー数社が昨年秋以降、日本への送金問題に揺さぶられている。二〇一四年に資金繰りの関係で、日本の本社から借り入れた数億〜数十億円規模の資金、いわゆる「親子ローン」を本社に返済しようと、外貨管理局に外貨への再両替と海外送金を申請したが、理由の説明もなく否認され続けているからだ。邦銀の現地支店や領事館を通して理由の問い合わせや抗議をしてもまったく解決せず、借り入れの返済は滞ったままだ。
 中国は今や圧倒的な世界最大の外貨保有国だが、外貨不足時代の一九八〇年代から続・・・