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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》原子力規制委員長

原発の死命を制する権力者の「本性」

2016年4月号

 もはや〝宿怨〟は晴らされたと言うべきか、経済産業省、電力業界からはこんな声が聞こえてくる。
「森さんは落ちた。残るは細田さんだ……」
 原子力規制委員会が昨年十一月、高速増殖炉「もんじゅ」を運営する日本原子力研究開発機構(JAEA)について、監督官庁の文部科学省に対し、異例の勧告を行ったのは周知の通り。不祥事が相次ぐJAEAを、もんじゅの事業主体としての「能力・資質を有していない」と断じ、半年をめどに新たな事業主体の特定を求めた。文科省は、東京大学元総長の有馬朗人を座長に検討会を立ち上げ、五月にも中間報告をまとめるが、実はほとんど当事者能力がない。
 対照的に、盛んに政界工作を展開しているのは経産省だ。もんじゅを自らと電力業界に押し付けられることを怖れ、高速増殖炉推進論者の自民党重鎮へ「廃炉やむなし」の説得を続けている。
 重鎮とは、細田博之、額賀福志郎、森英介の三人だが、すでに森は折れ、額賀も揺らいでいる。唯一、細田がもんじゅ再稼働を獅子吼しているものの、肝心の官邸が経産省出身の首相政務秘書官、今井尚哉(資源エネル・・・