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政治

《罪深きはこの官僚》義本博司 (文部科学省大臣官房審議官)

大学改革「迷走と混乱」の 張本人

2016年4月号

 日本の教育の行く末を担いながら、省益しか頭にない。三流官庁と揶揄される文部科学省も、ここまで酷いと乾いた笑いしか出ない。
「最高は一一八・六%の小樽商科大、帯広畜産大…」「最低は七五・五%の京都教育大」。三月十日付各紙朝刊に、二〇一六年度の全国八十六の国立大学法人への運営費交付金に関する記事が掲載された。例年、学校規模などに応じて機械的に配分されていた運営費を、今回は初めて各大学の改革案を文科省が評価して数値化し、傾斜配分(原資は約百億円)した。
 各大学の改革案を厳格に評価したと胸を張る文科省は、いざ記者向けのブリーフィングになると具体的な数値はおろか、その理由も書かれてない無味乾燥のペーパーを配布しただけだった。この理由について文科省担当記者はこう解説する。
「低い評価となった大学がやる気をなくす書き方はやめてほしい、という文科省側の配慮」
 文科省が税金を原資とする交付金の傾斜配分を実施しながら、理由を明かさずに「データは出せない」の一点張りでは到底通用しない。案の定、高等教育局幹部らによるブリーフィングでは報道陣から「デー・・・